「……い、や……ちょっと待てよ…」
「……何で…」
動揺する俺と奏太を見て、にっと笑うあいつ。
「お前らが大人になるまで俺が育ててやるから。
兄貴に任せろ」
くしゃくしゃと乱暴に頭を撫でられる。
……大人になるまで……育ててやる?しかも兄貴って……
本気で言ってんのか…?こいつ………
「………俺らの家のこと、知ってんの?」
ちらりとあいつの顔を見ると、
「黒木からさっき聞いた」
と答えた。
…確かに黒木には俺らの家の事情は話した。話したけど……だからって何で…俺らを育てようとか思う?あいつだって俺らより年上とはいえ高校生だろ…
「「……」」
「これ決定事項だから。拒否権なし」
あいつがそう言うのと同時に車が止まった。
窓の外を見ると、何と……
俺の家……だった。



