*
「俺ら、兄弟になるか」
あいつが突然言い出した。しかもかなりアホなことを……
兄弟なんてなろうと思ってなれるもんでもねぇだろ…
「…馬鹿じゃねぇの」
奏太も呆れたようにため息をつく。
今は病院から倉庫への帰り道。
奏太は不幸中の幸い…骨折はしてなくて、顔や足にガーゼや絆創膏を貼ってもらったくらいだ。
それでもかなり痛そうだけど…
「ここ、お前らの部屋にやるよ」
そう言ってあいつから渡されたのは2枚のカードキー。
「「??」」
俺と奏太は1枚ずつそれをもらって、ただカードを見つめる。
「俺の部屋の1個下の階。お前ら、俺が家に挨拶してやるからここに引っ越せ」
「「…!?」」
まさかの言葉。
あいつの言葉を理解するのに…少し時間がかかった。
………あいつは…俺らの家の事情をわかって言っているのだろうか……
…わかってなかったらこんなこと言わないか……



