雷龍の倉庫に行けば乱闘が起きていた。しかも雷龍の傘下の族である"紫苑(しおん)"と。




「てめぇら、何やってる」




俺が低い声で言えば一斉に固まるメンバー。空気まで凍りついたんじゃないかと思うくらい。




タイミング悪く、竜二も…幹部誰一人倉庫にいないから俺が来るまで乱闘止まることはなかった。




哲哉と康まで乱闘に参加してるし。








「哲、何があったか説明しろ」




静かになった空間で、哲哉はゆっくり口を開く。




「…紫苑が急に…"奏太と壮が黒烏のスパイ"だって言ってきたんで……俺ぁ信じらんなくて……」




「……スパイの証拠だってあるんやで、夜瀬。痛い目見る前に中坊追い出さなあかんで」




途中で口を挟んできたのは"紫苑"の総長である五十嵐 泰成(いがらし たいせい)。『紫』と金の刺繍でかかれた紫色の帽子を被ってるのが特徴。




見覚えのある封筒を五十嵐から手渡され、中を開けてみると……俺が今朝見た手紙と写真が入っていた。