見慣れたバイクに跨って、黒いヘルメットをしている。





ヘルメットをはずすと、綺麗な黒髪がさらりと揺れるた。両耳にしてある赤いピアスが、キラリと光って……





黒い瞳と目が合う。





「……っ…」





詩優を見た瞬間、声が出なくて……
でも気づいたら足が動いていて、ぎゅっと勢いよく詩優に抱きついた。




「…遅くなってごめん」




詩優は私を抱きしめ返して、温かい手で頭を撫でてくれる。




「……私っ……あの時からっ…いらない子だったの……っ…



…お母さん……痛い思いしてたのに…っ…私っ…気づけなかった……っ…

私が…っ…助けて…あげられたかもしれないのに……っ…」





上手く息が吸えなくなって、クラクラする。徐々に視界が真っ白になっていって、少しでも気を抜くと意識がなくなりそうだ…




苦しい……苦しいよ………助けて………








「大丈夫。大丈夫だからゆっくり呼吸して」




ぐいっと肩を強く抱かれて、詩優と完全に密着。トクン…トクン…と心臓の音が聞こえてきて、何だか安心する。





「吸って……はいて……」





詩優に合わせて、ゆっくり呼吸を整える。