気づいたら走り出していた。
これ以上聞きたくなくて、お母さんに会いたくなくてて……
「花!!!」
後ろから冬樹くんの声が聞こえてくる。ここは住宅街のため、私はすぐに角を曲がって、曲がって……冬樹くんを巻いた。
今はお母さんに会いたくない
お母さんが私に会いたがってるの?それとも冬樹くんが会わせようとしてくれてるの…?
もし、お母さんが私に会いたいと言ったのなら……それは自分勝手ではないか。私のことを捨てたくせに……
ぽたぽたと涙で地面が濡れていく
お母さん
どうして私を捨てたの
どうして?
お母さんがいなくなった後、私だって痛い思いしたんだよ
それでも耐えて、耐えて……
お母さんがいなくなったらあの日から生きてきたんだ
…………お母さん、ごめんね
お母さんが痛いのに、異変に気づいてあげられなくて……
結局、私も悪いんだ…



