上がる気温に、鳴り響く蝉の声。"あの日"が近づいてきた、ある日のこと。





学校の裏門にピンクメッシュの冬樹くんが立っていた。




「…今日は夜瀬に話があって来た」




そう言う冬樹くんはとても真剣な表情で、大事な話なんだと思った。




…でも何で詩優に?




「……わかった。花莉は先に倉庫行ってて。俺があとからバイクで迎えに行くから」




半ば強引に車に乗せられる私。




「…待って、詩優」




何となく行ってほしくなくて、詩優の袖を引っ張った。




すると…




詩優は私に顔を近づけた。ふにっと柔らかい唇が触れて、すぐに離れる。




「!?」




まさかキスされるなんて思ってもいなくて、掴んでいた袖を離してしまった。





それをチャンスと言わんばかりに車のドアを閉められる。




…冬樹くんと康さんがいるのに……キス、された……





恥ずかしくて体温が上がる。絶対今、顔赤い…





赤い顔を見られたくなくて、私はそのまま俯いていた。すぐに車が発進して、倉庫まで連れていかれたからその後2人がどうしたのか私はわからない。