「かーなた!倉庫行こー」


「おう」




俺に声をかけてくる茶髪のやつは同じクラスの壮。こいつも俺と同じように複雑な家庭の中にいる。壮の父親は再婚したらしいが家に居場所がないと言っていた。





壮とは仲良くなって、一緒に暴走族に入った。






俺と壮は、黒烏が自分たちの居場所だって…勝手にそう思っていたんだ…




「やぁ、奏太くん。壮くん。いきなりで悪いんだけどさ、ちょっとこれ持っててくれない?」




倉庫に行くなりすぐに総長である黒木 明(くろき あきら)に声をかけられた。





手渡されたのは白い虎のキーホルダー2つ。しかも薄汚れて、傷が入ってるやつ。





「スマホにでも付けておいて」




俺と壮は言われた通りにスマホにつけた。黒木の言うことなら何でも聞くようにしている。だってこいつは俺らに居場所をくれた人だから。





恩人のような人







だからいいように利用されているだなんて考えてもいなかった……