「…僕はその子に用があるんだ……」




小太りの男はまた私に手を伸ばす。けれど、それを詩優が許すはずもなく手を払い除けた。




「てめぇ、いい加減にしろ。朱里にストーカーして、さらに花莉にも手ぇ出すとか。まじで死にてぇのか」





詩優はぎゅっと私を後ろから抱きしめる。





…この人が朱里さんのストーカー!?





小太り男は諦めが悪いようで、また私に手を伸ばす。同じように詩優が手を振り払おうとしたら













「……夜瀬詩優を…いくらで買い取れる?」















と確かに聞こえてきた。





……詩優?





「……夜瀬様…が好きなんだ……だか、ら買い取りたい…」





続けて話す小太りの男。




「え?」


「は?」




思わず間抜けな声が出る私と詩優。