ホテルの中に入って汚れ1つない(たぶん)キラキラと輝くタイルの床を歩いた。




「詩優様!!お待ちしておりました!!」




フロントにいた黒いスーツを着たボブカットの女性がにこにこ笑顔で駆け寄ってくる。




首元に青いスカーフを付けて、胸には『白野』とかかれた名札をつけているからここの従業員だろう。




「……そちらの女性は?」




私をちらりと見る白野さんという女性は少し冷ややかな目を私に向ける。




「恋人」




詩優がそう答えると、「…そうですか」と悲しそうに答える白野さん。





「…こちらいつもの鍵です」

「さんきゅ」




詩優は差し出された鍵を受け取ってポケットにしまうと、またゆっくりと歩き出す。