___________1時間後





「どう?どう?しーくん」



鏡で見た私は私じゃないみたいだった。




ピンクのドレスは胸元と肩、背中の3分の1くらいはシースルー。ドレスの丈は長すぎず短過ぎず、膝下くらい。




髪までゆるふわに巻いてあってメイクもバッチリ。




いつもより大きく見える目、
いつもよりぷっくりしている色づいた唇、
いつもより肌が白いように見える。




それから黒いピンヒールまで履かせてくれた。




朱里さんは本当にすごい人だ……




詩優は私を見て固まる。何も言わずに……




…やっぱり似合ってないんだ……
私なんかがまた化粧して…内心ドキドキして何も言うことができない。




「……可愛すぎ」




呟くように聞こえた声。




………え




聞き間違いではないかと思って、詩優を見た。けど、ぷいっと顔を逸らされて表情がわからない。




「しーくん~花ちゃんにはっきり言わなきゃ伝わらないよー?」





「……似合ってる。可愛すぎ」




やけになったように言った詩優は気のせいか頬が赤いような気がした。





じっと詩優を見つめていたら「見んな」と言われてしまったけど……




嬉しい




好きな人にそう言われるのはすっごく嬉しい。今ならスキップでどこまでも行けそうだ。




「えへへへ」




私は気持ち悪いくらいにやけていたと思う。