「…はぁ」
思わずため息が出た。
学校が終わった放課後、私は康さんの車に向かうために校門に向かったらピンクメッシュの男の人と目が合った。
「花(はな)!!!!!会いたかった……!!!!!」
私を見るなりぎゅーっと抱きついてくる男。
「!?」
…今、私のこと"花"って呼んだ?
私のことを昔からそう呼ぶ人物を1人しか知らない。
その人物とは従兄弟の榊 冬樹(さかき ふゆき)。2つ年上で俊と同い年の頼りになるお兄ちゃん的存在。
でもこの人は私の知ってる冬樹くんじゃない。だって髪色が全然違う。昔は黒髪だったのに……
「離して!!!」
男の腕の中で必死に暴れる私。タイミング悪く康さんの車はまだ来ていない。
急いで校舎に戻らないと…!!
「花!!俺だよ!!冬樹!!」
私を抱きしめる力を緩めない男はそう言う。確かに少し声は似ている…気がするけど……
「冬樹くんはそんな不良みたいな頭してないもん!!」
「染めたんだよ!」
……あの冬樹くんが…?