プールの清掃でのことがあってから、私は何も気にしていないふりをして詩優とは普通に話している。




もう二度と化粧なんてしない。詩優が似合わないと思ったのならそうしよう、と心に誓った。




あの日、詩優と竜二さんがプール清掃に来ていたのは担任から指名されたからだとか。クラスで欠席が多い2人…だから選ばれたらしい。




「花莉」




トイレから出て、空き教室に戻ると詩優に声をかけられた。さっきの女の子たちの話を聞いてしまったからか、詩優の声を聞いて心臓がドキリとした。




「…な、なに?」

「俺、今日の放課後用事あるから先に康の車で帰ってて」



「…わかった」




たったそれだけの会話で変な汗が出る。詩優はそのあと何も言うわけでもなく、ただじっと私と目を合わせる。





すぐに逸らしたくなった…のを必死に我慢していたら「ごめんな」と小さく詩優が口を開いた。





…え?





それだけ言ってから離れていった詩優。何で謝ったんだろうか……何もされていないのに…