男が台所に行ってココアを作る。



私が背中をじっと見つめていると、



「そういえば自己紹介まだだったな」



と笑った。



「俺は夜瀬 詩優(やぜ しゆう)。1年2組よろしく」



……しゆう…さん



「はい」とココアが入ったマグカップを手渡され、「ありがとう」と受け取った。




「……えと……妃芽乃 花莉(ひめの はなり)…です」




「うん。知ってる」



……え。知ってるの!?



私の隣に座る詩優さん…



「俺と京子、同じ中学なんだ」



「え!?京子と!?」



まさかの言葉…



「京子がいつも言ってた。"花莉がね"って。すっげーお前ら仲良いんだなって思いながら聞いてた」



……いつも…



………京子…



胸の奥が熱くなる………




私は手に握ったマグカップのココアを口に入れた。




…温かくて美味しい……