詩優の次の言葉を期待して待っていたら、私のポニーテールに手をかけてヘアゴムを引っ張った。



はらりと元通りになる髪型。



そして、次に私の唇に親指を当ててゆっくりなぞるように動かしていく。上唇、下唇の順に。



しかもそのあとにジャージの袖で唇をごしごし拭かれた。



………え……



あまりにも衝撃的な行動に頭が追い付かず、ただ呆然としていることしかできない。



「バカね」




京子は詩優にそう言ってから私の手を引いてまた歩き出す。




女子更衣室に戻ると、なぜか涙が溢れてきた。




どうしてだろうか………




いや、初めから期待するべきじゃなかったんだ。似合ってなかったんだから……



自分が似合わないことくらいどうしてわからなかったんだろう。馬鹿だ…自分。




詩優は見苦しいと思ったからあぁいう行動をしたわけで………むしろ私に恥をかかせたくなかったのかもしれない。




…感謝しなくちゃ……




なのにどうしてだろう。




涙が止まらないんだ。