「元(げん)と滝(たき)は妃芽乃さんに指一本触れないで」



「「…はい」」



八王子くんは私の腕を引っ張って、座席に座らせるとすぐに隣に座った。




「環さん、これどうぞ」



坊主の1人がペットボトルの水……ラベルがついていないものを八王子くんに手渡す。それを「飲んでいいよ」と八王子くんが隣の私に渡した。



受け取ってしまったけどとても飲む気にもなれない。喉も乾かないし…




ピルルルルルルル




私のスマホから音が鳴り出す。八王子くんの手に握られている私のスマホの画面には"夜瀬詩優"と表示されている。




…詩優!!




八王子くんはさっき私に渡したばかりペットボトルを奪うと、キャップを開けて水を口に含む。




そして……




私に顔を近づけて、唇を重ねる。無理矢理口を開かされて、水が口の中に流れ込む。




気持ち悪くて必死に抵抗したけど、力ではかなわなくて結局はされるがまま。苦しくて、嫌でも水を飲んでしまった。




何口か飲んでからやっと唇が離される。



「…最低…!!」



口の端から垂れた水を手で拭って、私は八王子くんを睨みつける。