学校からの帰り道、今日は竜二さんが私をマンションまで送ってくれる。



最近詩優はすごく忙しそうで、マンションにもあまり帰らなくなった。少しだけ寂しい……なんて思ったり。



「詩優に聞いたのか?昔の雷龍のこと」



竜二さんの言葉に私は首を横に振った。すると竜二さんは眉間に皺を寄せて、「あのバカ詩優」と小さく呟いてため息を1つ。



「妃芽は知りたいとかは思わないのか?」



それはできることなら知りたい。でも、私が簡単に聞いていいことなのかもわからないから…聞けないでいた。



「……思います…けど…」



ぐるぐる考えていると、竜二さんは優しく微笑んで私の頭を優しく撫でてくれた。



「雷龍の姫なんだ。聞く権利はあるだろう」



そう言って私を安心させてくれる竜二さん。



「……本当…ですか…」


「あぁ」



竜二さんは私の頭を撫でた手をそっと離して、ゆっくり歩き出す。



「槇村 海斗(まきむら かいと)。あいつは詩優と幼なじみで、小学生の頃から一緒だと聞いた」



…幼なじみ……詩優と海斗さんが……



私も竜二さんのあとを追ってゆっくり歩いた。



「槇村は詩優より短期でな、口数があまり少なかった。口数が少なくても詩優が槇村の1番の理解者だった。

中学時代のあいつらはよく一緒に喧嘩しに行って、怪我だらけで帰ってきた時もあった。槇村は俺よりも喧嘩は強いし、詩優と槇村は互角だ」



懐かしそうに話す竜二さん。




竜二さんよりも強くて詩優と互角…そんなに強い人がなんで……




「中一の夏くらいに槇村と詩優は雷龍に勧誘されて入って、あとから詩優の誘いで俺と倫也、明日葉、京子も入った」