「……俺としかキスしたくねぇとか言っといてなに他の男になびいてんの?もう俺以外とキスできんの?」
冷たい声。その冷たさの中に怒りがあるような、そんな声で私に聞いてくる。
頬に触れながら、顔を近づけてくる詩優。
……なんで……そういうこと言うの……?なびいてなんてないのに……詩優以外とキスできるわけないのに……
…好きな人は詩優なのに。
「…何で怒ってるの……何で……」
じわっと目に涙が溜まっていく……溢れてしまわないように必死に堪えて、詩優をただ見つめた
「…俺がお前に惚れてんの忘れたとは言わせねぇ」
「………忘れてない…」
…それは忘れることなんてできないし、忘れたくもない。
「…じゃあ何?俺が妬かないとでも思ったの?」
「………私の話聞いてよ……詩優……
…まず手なんて出されてないし……なびいてなんてないもん………キスだって……好きな人としかしたくない…」
流れ落ちてしまった涙はもう止めることはできなくて、ただぽろぽろと涙を流した。
「………お前の言う好きな人って誰?」
真剣な瞳で私を見つめて、涙を指で拭ってくれる。私が泣いても質問なんてやめてくれない……意地悪な人…
「……………秘密…」
「……答えて」
それを聞くのはずるいよ、詩優…………



