めずらしく詩優が朝、起きている。本当にめずらしいから思わずじっと見つめていたら



「キスしていいの?」



と見つめ返された。



「へ!?」



予想していない言葉。すぐに体が熱くなっていく……きっと顔も赤い…



「な、な、な、な、な、な、な、 なんで……き、す…なの!?」



私はただ朝起きてる詩優が珍しかったから見てただけなのに。



「ずっと見つめられてたらキスしていいと思うじゃん」



何その考え方。そんなことを考える人はきっとここに一人しかいないだろう。




「そんなの詩優だけだよ!!!」




「俺だけじゃねぇよ。花莉、目、瞑って」




え!?目、瞑ってって……瞑ったらキスするの!?キスする気満々じゃない!?




詩優は私に近づいて、そっと頬に触れる。目の前の彼から目が離せない。まるで獲物を捉えたかのように私を見つめる瞳は力強くて、おもしろがってるのか口角が少し上がっている。



「…目、開けたままキスすんの?」



耳元でそっと詩優の低い声が聞こえてくる。ドキン!と胸が大きく鳴って、壊れてしまいそうだ…



「……し、しない…」



必死に口ではそう言うけど、体は全然抵抗する気がなくて自分でもびっくりだ…



本当に詩優の"獲物"になってしまったんだと思い、そっと目を閉じた。




すぐに柔らかいものが唇に触れて、すぐに離れた…と思ったら熱いものが口内に入ってくる。



「…んんっ……」



唇を離そうとしても後頭部を手で押さえつけられて、逃げられない。1度捕まってしまったらもう逃げられないみたい…