「大丈夫。それでも俺が花莉を好きなことには変わりないから」



ぽんぽんと温かい手で私の頭を撫でてくれるけど……その言葉は私が留年しても構わないってことだよね?



「膨れてる」



ムスッとした顔で詩優を見つめれば膨らませた頬を指で突っつかれた。









「…もう1回、する?」



甘く誘うような声。目の前の彼は何て声を出すんだ………



"するって何を?"なんて聞かなくてもわかってしまった。それはキスのことで…



「……し、しない!!」




私は唇の前で指でバツをつくる。拒否の意味を込めて。



決してキスしたくないわけじゃない。今日はもうたくさんキスしたし…詩優で満たされたから……これ以上すると本当に熱が出るような気がしただけ。



「…俺の膝の上に座ってるから誘ってんのかと思った」



詩優に言われて気づいた。私はまだ詩優の膝の上に座っていると……



「ご、ごめん…!」



慌てて膝の上から下りると、心なしか詩優が寂しそうな顔をした。






ぎゅっと私の手を握る詩優。




「お前は俺の言葉だけ信じて待ってて。

雅に納得してもらえたら、花莉に告白するから」




その瞳がまっすぐで…とても真剣だ。鼓動が早鐘を打って、壊れてしまいそうになる。




逸らしかけた視線を合わせて、私はこくんと頷いた。