「…全部?……詩優が言ったことも……私が言ったことも…?」



詩優は「そうそう、現実」と答える。



途端に恥ずかしくなる。



……なんてことを言ってしまったんだろう…



「……わ、私……帰る!」


ベッドから起き上がろうとした時、詩優に肩を押されてぽすん、とベッドに戻された。



「お前の誤解といたはずなんだけど。それでも帰るの?」



詩優はじっと私の目を見つめる。真剣な瞳で、ずっと見ていたら吸い込まれてしまいそう。



「まぁ、帰す気なんてないけど」



口角を上げる目の前の彼。



…私が言った数々の言葉。



"好き"、"キスして"、"処女奪ってよ"。恥ずかしい。恥ずかしすぎる。何でそんなこと言ってしまったんだろう…



しかも…八王子くんにキスされたことまで言っちゃったし……そんなこと言う必要なかったのに…



…最悪だ………



熱の時の私を恨むよ…



私は布団の中に潜った。布団の中でぎゅーっと目を瞑る。



今更もう遅いけど…



詩優が私の言ったことを全て忘れますように



そう祈った。