バキッ!!!!!!





という鈍い音が響いて、私は直ぐに目を開けた。



「お前何してんの!?」



パサッと私にかけられたのは温かい上着。目の前には詩優がいて、さっきまで私を襲っていた男は地面に倒れている。



……な……んで……



「本気でバカなんじゃねぇの!?」



詩優は悲しそうな顔をしている。この人はやっぱりひどい人。雅さんを選んだのならもう私に関わらないでほしいのに…


そう思ってるはずなのに、どこかで詩優が来てくれて安心してる私がいる。



「………帰って……邪魔しないで……私は……やらなくちゃいけないの」


「お前体売る気かよ」


「…売る」


呟くように答えた私の肩を掴む詩優。



「このアホ!!!自分を大切にするくらいお前にはできねぇのか!!」



…詩優には関係ないじゃん……そんなの………



「…私にはできないの…!普通のこともできないの…!言うこと聞かなかったら俊に殴られるのは私なの……!」



「………だったら俺のとこに逃げてこいよ」



「雅さんとしたくせに…雅さんが好きなくせに……そんなこと言わないで…」



ぽたりと涙がこぼれ落ちた。詩優の前で泣きたくなかったのに……これ以上私が弱いところなんて見せたくない…



「は?」


詩優は口を開けて固まる。私にバレてないとでも思ってるの…?



「…雅さんとホテル街にいたって聞いたんだから…ヤったんでしょ

だったら私だって誰と何しようが詩優には関係ない……!!」



頭がズキズキして痛い。体もふらふらして、もう倒れてしまいそうだ…



「ホテル街にいたのは事実だけど入ってねぇし、してねぇよ。そもそも無理矢理連れてかれただけだし……その後雅の家に行ったけど先々代と話したくらいだ」



……え?



「……嘘言わないで………もう帰ってよ……お願いだから…」



「花莉。お前のこと誰にも渡す気もねぇし手放す気もねぇ。無理矢理にでも連れて帰る」




そう言って手を掴まれて、詩優に引き寄せられる私。もうどうしたらいいのかわからない…