たくさん泣いた後は外に飛び出して、向かったのは"あの家"。


私は最初からここから出ることなんてできないんだ。ほんの少しだけ夢のような時間を過ごせただけ。私の居場所は詩優の隣じゃない……


あの家なんだ…


学校の近くにある家に帰ってきた時はもう雨でびしょ濡れだった。家の扉を引くとガチャッと開いていて、中に入るとすぐに鍵を閉めた。



そしてお父さんがリビングから出てきて、冷たい目で私を見る。



「やっと自分の居場所がどこだかわかったみたいだね」



私にそう言うと、ぐいっと腕を引っ張られてリビングへ……



…これから何されるか……よくわかる…
今までだって散々されてきたから……



「そこに仰向けで寝なさい」


ソファを指さすお父さん。私は言われた通りにソファに仰向けで寝た。


するとすぐにブレザーのボタンをはずされて、ブラウスとキャミソールを捲られた。


カチカチと、カッターの刃を出す音。



……怖い…



前はこれが当たり前だったのに…何で怖いとか誰かに助けて欲しいとか思ってしまうのだろう……



冷たい手で私の素肌に触れたお父さんは私に跨ると、そっとカッターの刃を腹部に滑らせた。



瞬間、痛みが私を襲う。



「痛いっ……!」



私が泣こうが喚こうが一切気にしないでどんどんカッターの刃を滑らせる。



「助けてっ……詩優…」



ついつい口走ってしまったその言葉に胸が痛くなって、どんどん涙が溢れた。






…最後に詩優にお別れくらい言っておけばよかった。