さっきの男と離れられたと思ったのに…


「やぁ。僕は八王子 環(はちおうじ たまき)。環くんって呼んでね。よろしく、妃芽乃さん」

クリーム色の髪の毛の男が振り向いて手をひらひらさせる。

なんと席は出席番号順で、このチャラそうな人が前の席で…私が後ろの席。


「……よ、よろしく…」


「僕、妃芽乃さんのこと狙っちゃおうかな」


…え?


…狙うって私の何を?



まさか……



命を?



なんて危ないことを言う人なんだ…



ほんの少しだけ机を後ろに下げて、なるべく目の前のこの男と距離をとった。そうでもしなければすぐに捕まると思ったから…


「これ、僕の連絡先だから。いつでも連絡して」


八王子くんは私の机の上に紙切れを置いてすぐにクラスの女の子の所にいってしまった。


……この紙…どうすれば…


連絡する気はなかったけどとりあえずブレザーのポケットの中にしまっておくことにした。


…明日返そうかな……