3人で階段を下りると……
「詩優ー!!!!会いたかったーーー!!!!」
と、詩優に抱きつく雅さんの姿
思わず顔を背けてしまった。
……見たくない…
胸が締め付けられて苦しくなる……
下にいた雷龍の下っ端の男たちは詩優と雅さんを見て戸惑っているようだ。私もどうしたらいいのかわからない…
「雅!!!!!まじで離せ!!!!!!!」
詩優が抵抗してもなかなか離れない雅さん…先々代の総長のお孫さんだし…本気で抵抗することができないんだろう…
………でも…"雅"って呼んでた…
それだけのことなのに胸が痛くて、苦しくて……
「……倫也、明日葉……早く帰りたい」
私がそう言うと、早歩きで歩いてくれた。どうしても前を見てあるくことができない…
……見たくない…見たくない……
詩優の横を通り抜けてようとしたところで
「………じゃあね、詩優…」
と、小さな声で言った。
ここに連れて来てもらったのに何も言わないで行くのもなんか申し訳ないと思ったからであって…本当にそれ以外は何もなくて………
引き留められるなんて思ってもいなかったわけで……