彼は目を細めて微笑んでくれ、恥ずかしくなった私は会釈をして視線を沙月ちゃんのほうへと戻す。


「……なに、今の」
「へ…」


どうやら沙月ちゃんは一部始終を見ていたらしく、今度はじとっと私を見つめてきた。


「怪しい…あんな王子様の微笑みを未央だけに向けるなんて怪しい……!私も微笑まれたい!」

「さ、沙月ちゃん声が…」
「だって羨ましいから!私の彼氏は意地悪だからなぁ」


実は神田くんも意地悪な部分がある、と言えば彼に対してのイメージが変わるかもしれないから黙っておく。

それにどの範囲まで秘密にしないといけないのかわからないから、容易に口出しできない。


「でも、本当にびっくりした。
まさか神田と未央が関わりあったなんて」


うん、私も驚いている。
未だに実感できていない部分があるほど───