「でも一緒に行ったのは確かなんだよね?」
「う、うん…」

「どんな感じなの?神田がプライベートで話しているところなんて、全然想像できない!」


どんな感じ…なんだろう。
けれど優しい見た目や雰囲気通りの人だ。


「優しくて、すごく穏やかな人だよ」
「やっぱりプライベートでもそうなんだ」

少し付け足すとすれば、意外と強引な部分もあるということ。


それを言えば、理由を深く聞かれそうだったから黙っておいた。

それ以外は本当に優しくて穏やかな、温かい人だと思う。


ちらっと神田くんに視線を向ければ、彼はすでにいつも通り自席で本を読んでいる。

本が好きなのではなく、感情を表現するための勉強として───


「……っ」

その時、彼がこちらを向いて視線が交わった。