「もー……」

涼雅くんにしては少し幼稚なことをされたな、なんて思いつつ私もベッドのそばまで行けば───


「……わ」

思わず目を奪われてしまうほど綺麗な寝顔の神田くんが、ベッドの上で眠っていた。


寝顔からして大人びており、いつでもかっこいいんだなと少しだけ羨ましく思う。

そんな私の気も知らず、神田くんはスヤスヤと静かな寝息を立てて眠っていた。


「ぐっすり寝てんなぁ」

心なしか嬉しそうな表情の涼雅くん。


「そうだね」

「これは完全に夢の中だな。
一回頬とか突っついてみ?」


すると今度は悪知恵を働いている様子。
もちろん首を振るけれど。


「こんな機会ほとんどねぇぞ?
拓哉の寝顔見れるとか」


そんなことを言われてしまえば、少し神田くんに手を出したくなった。

これから神田くんの寝顔が見られないとなると、話は変わってくる。


「じゃ、じゃあ少しだけ…」

恐る恐る神田くんの頬に手を伸ばし。
頬を突っついてみるけれど、起きる様子はない。

無防備な姿に思わず頬が緩む。


寝顔は綺麗でかっこいいけれど、なんだかかわいいとすら思ってしまう。


「へへ、かわいい」

なんだか楽しくなって、もう一度頬を突っつけば、ピクリと神田くんの眉が動いた。


「……わっ」

かと思えば、神田くんは寝返りを打って。

仰向けの状態から私のほうを向いたかと思うとら手首を掴まれてしまう。


「え、神田くん…起きてるの?」

思わず声をかけたけれど、反応はない。
どうやら依然として夢の中のようだ。


「……拓哉って案外寝相悪いのか?」

そんな神田くんの様子を見て、涼雅くんも驚いている様子。


とりあえず起こさないためにも、神田くんの手を剥がそうとしたら───


「……ひゃっ」

突然掴まれた手首を引かれてしまい。

ベッドの上へと倒れ込んだかと思うと、神田くんにぎゅっと抱きしめられた。