恋愛王子の落とし方

帰り道、先輩の家の近くの公園で寺尾がバスケをしていたのを見た。

寺尾は一人で何回も何回もシュート練習をしている。

こういう奴が上手くなっていくと思った。

「あ、宮島先輩」

俺もついに先輩と呼ばれるようになった。

なんか、後輩っていいな。

「寺尾、お疲れ」

「あざーす。よければ先輩も一緒にやりませんか?」

「いいよ」

二人で何分かボールを奪い合ってシュートした。

意外にも楽しかった。

「俺、総合的に先輩には負けたくないんで」

そんなことも言ってきた。

総合的って何だ?

俺にはさっぱりだった。

「では先輩、学校で」

寺尾を見送ってからふと思った。

もしかしたら、先輩の知り合い。

あるいは幼なじみかもって。