恋愛王子の落とし方

「んじゃあ、遠慮なく」

顔を近づけてくる。

「だめっ!」

「嫌じゃないならいいだろ?」

「…………だから、その、心の準備が……」

「いつ?」

え?

「いつになったらいいの?さっきも言ってたよね?」

えーと…………

「ねえ」

「い、今!………今しとく」

投げやりで答えてしまった。

どうなってもいいやと思い、目をつむる。

「んじゃあ……………」

感覚で分かる。

これがキスの距離なんだって。

だって、こんなにも近いんだもん。

あと何センチ?

何ミリ?

あ。

唇が触れた。

甘くて温かい熱を感じた。

前にサキが

「キスの味って人それぞれ違うみたい」

って言っていたのを思い出した。

それなら私のは、苺ミルクだと思う。

甘くて優しくてちょっと酸っぱい。

それが私のファーストキスだ。