恋愛王子の落とし方

十六対十五で宮島くんがサーブ。

どうせ横回転だろうと思っていた。

でも、まさか。

ここでナックルを出してきた。

えぇ?

ここでナックルサーブ?

呆気に取られながらもどうにか打ち返したが、ネットに引っ掛かって落ちた。

落ちたのは…………宮島くんの方だった。

私は唇を噛んだ。

なぜならこの終わり方が大嫌いだからだ。

私も喜べないし、相手も悲しむこの終わり方だけは絶対にやりたくなかった。

なのにしてしまった。

罪悪感と意地が募る。

「先輩の勝ちですよ」

「いいえ、私の負けだわ。これから呼び捨てにするから…………」

明らかに声のトーンが落ちているのが自分でも分かる。

「先輩…………」

「呼ばせて。お願い」

「はい」

宮島くんは混乱していたようだったので、あとからゆっくり話すことにした。