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「うぅーっ…、アレンー…っ」
「はいはい。…まったく。ロシアンルーレットよりタチの悪いゲキブツを迷いなく食べるからですよ。」
パーティー終了後。
人気(ひとけ)のない城の庭で、ぐすぐす、と泣きながら差し出された水を受け取る私。
呆れたように琥珀の瞳を細めるアレンに、私は、疑いの目を向ける。
「この水には、アメルの葉は入っていないわよね?」
「ただの水ですよ。私はそこまで鬼畜ではありません。」
ごくり、と飲み干すと、口の中の痛みが徐々に減っていく。ひんやりとした冷たい水が、喉の潤いを取り戻してくれたようだ。
なんとか生き返った私は、腕を組んで壁にもたれかかるアレンに、そっ、と尋ねる。
「それにしても、よくアメルの葉入りの紅茶を用意できたわね。もしかして、こうなることを全部読んでいたの?」
「まさか。あの紅茶は、令嬢軍団のカップにこっそり忍ばせようと仕込んだものです。要は、彼女達のタバスコケーキと同じ役目ですね。」
アレンは、苦い紅茶を飲んだ令嬢達が私に難癖をつけてきたところを撃退するシナリオを描いていたらしい。
まさか、機転を利かせてこんな結果につなげるとは思わなかった。



