思わぬ形で嘘がバレた令嬢達。

全てを聞いていたゲストは、私に向けていた鋭い視線の矛先を変える。

そして、それに気づかないコックは、にこにことお褒めの言葉を待っている。


(え、ええい…!仕方ない!)


ガッ!と新しいフォークを手に取った私。

…と、目を見開くアレンをよそに、思いっきり残りのケーキを口に運んだ。


ごくんっ!


むせそうになる喉を必死で堪える。

言葉を失うモニカとアレンの視線を背中に感じながら、私は笑顔で言い切った。


「もちろん、とっても美味しいわ…!私のわがままを聞いてくれて、ありがとうね。」


『いえ!他でもない、サーシャ様の頼みですから…!』


アレン。

心の声が聞こえる?

私は、今にも、絵本の中のドラゴンのように炎を吐いてぶっ倒れそうよ。


(ねぇ、私、ちゃんとやれたかしら?)


飛んでいきそうな意識の中。

トン、と私の肩に触れ引き寄せたアレンの穏やかな琥珀の瞳が、やけに鮮やかに映ったのだった。