お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。


熱のこもった瞳が私をとらえた。

視線を逸らすことなんて出来ない。

するり、と私の髪を耳にかけた彼は、そのまま私の頰に手を添え、そっ、と囁いた。


「愛してるよ、ニナ。」


それは、今までで一番優しく、甘い響き。ずっと聞きたくて。でも、返事が怖くて逃げてきた答えだ。

見たこともないような彼の表情に鼓動が速まる。

普段は女の子に興味がないようなクールな顔をしているくせに、こんな時に限って慣れたように最上級の口説き文句を口にするアレンに、私はただ、頰を染めて瞬きをする他なかった。


すっ…!


片手を私の首に回し、探るように優しく引き寄せるアレン。私に抵抗する気がないと見るや否や、艶やかに微笑んだ彼は、そっ、とまつ毛を伏せる。

重なる二人の影。

触れた唇の感触に、ぞくり、と甘い痺れが走った。

気遣うように落とされていたキスも、やがて遠慮がなくなる。角度を変えて交わされる口づけは、お互いのことしか考えられなくなるほど気持ちいい。

…と。彼に任せるまま吐息が乱れてきた頃、ふとアレンが唇を離した。


「まずい…、夢中になりすぎました。これ以上は旦那様に殺される…」


「…っ、急に執事モードに戻らないでよ…!」