お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。


『く、くそ…っ?!何だこのガキ…!!仕方ない、このおチビちゃんだけでも連れて、さっさと船に乗り込むぞ!』


焦ったように、ぐいっ!と私の腕を掴む男。

しかし、次の瞬間。男の相方の手に持つ通信機から、鬼気迫ったような声が響く。


『た、大変です、ボス!!隣国の港に手配していた船が、全て占拠されました…!!』


『はぁ?!一体どういうことだ?!』


『実は、騎士団の腕章をつけた軍隊が一気に港に押し寄せて…!騎士団長とおぼしき短髪の男と素性の分からないコートの男が、次々と船を海に沈めていってます…!!』


『なんだって?!!!』


どくん…!


頭をよぎるのは、心強い味方のシルエット。

海を越えた先で、彼らも戦ってくれていたのだ。

作戦が全て水の泡となり、苛ついて通信機を投げ捨てた男。バキン!と力強く踏みつけると、通信機の向こうの音声がブツリと途切れる。


ぐいっ!


次の瞬間。

私の肩を抱いたのは、殺し屋のような瞳のアレンだった。

息を呑んだその時。彼はカッ!と琥珀の瞳を見開き、低く唸る。


「ニナに触んな…!」


『『!』』