お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。



「やめて!!アレンには、手を出さないで!!!」


私の声に、アレンの動きがぴたり、と止まる。

と、次の瞬間。私のセリフを聞いたアレンが、強張っていた表情を崩した。


「アレンは、人を殴ったこともない平和主義者なの!!強いて言うなら、勝てるのは家に出たゴキブリくらいなのよ!」


「!」


「アレンは、まともに喧嘩したことなんてないの!だからお願い…!こんな卑怯な真似はしないで!私はどうなってもいいから、アレンだけは見逃して…!!」


「…。」


何も言わないアレンに、ニヤリ、と笑う男達。

必死の説得も、状況はまるで変わらない。

黙り込むアレンは、俯き、じっと何かを堪えている。


きっと、アレンは今にも恐怖で倒れそうなんだわ。

こんな悪そうな男達に囲まれて、勝ち目なんてないもの…!


嫌な胸騒ぎが込み上げて、ぞくり、と体に震えが走った瞬間。

非情な男の声が、コンクリートの港に響いた。


『弱っちいガキは、ここで始末しろ!一人でここに乗り込んできたことを後悔させてやれ!』


(!!)


もう、ダメだ。

カタカタと指が震え、ぎゅっ、と目を閉じ視線を逸らした

その時だった。