お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。


ガシャァン!!!


『『「?!」』』


耳をつんざくような大きな音が響いた。

錆びついたシャッターが、外から蹴り飛ばされたように破壊される。

思わず目を見開いて差し込んだ光の方を見た瞬間。ずっと心の中で名を呼んでいた“燕尾服の彼”がそこにいた。


「…ア、レン…」


私の震えた声が、コンクリートの壁に響く。

琥珀の瞳を鋭く細めた彼は、一言も発せずに男達を睨みつけていた。


『あ…?なんだ、このガキ…』


『まさか、城の兵に勘付かれたか…?!』


しかし、アレンの後から誰かが続く気配はない。

師匠であるメルさんの姿もそこにはなかった。


(嘘?!一人で乗り込んできたの…?!)


ありえない展開に言葉を失う。

まさか、頭に血が上って焦るあまり、味方の援護を待たぬうちにここへ来てしまったのだろうか。

いつもは冷静なアレンが、そんなミスをするはずがない。

しかし、こちらを見つめるアレンの視線は見たこともないほど尖っていて、まるで別人のようだった。

…と、その時。困惑の表情を浮かべる私をちらり、と見やったアレンは、わずかに肩の力を抜き、ふっ、と微笑む。


「やっと見つけたぞ、“ニナ”。」


「…っ?!」