お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。


キョロキョロと武器になりそうなものを探すが、廃港にはめぼしいものがない。

それに加え、体の自由を奪う縄は、想像以上に頑丈で、何かの拍子に解けたり、千切れたりする脆さではないようだ。


『おい、隣国の港に、仲間が着いたってよ。』


『ふっ…。よし、じゃあ、そろそろこいつを連れて行くか。』


「!!」


小さな通信機で連絡を取っている彼らの会話に、どくん!と心臓が鈍く音を立てた。

仲間、だって?

組織的な犯行なら、私一人でどうにかできる問題ではなくなる。


『ほら、さっさと立て。』


ぱさり、と解かれる縄。

手首は縛られたままだが、このまま連れていくつもりのようだ。


「っ!離して!!」


『大人しくしろ…!』


抵抗しようにも、相手は大人。

ドッ!と突き飛ばされ、コンクリートに倒れこんだ。


あぁ、もう、無理かもしれない。

運良く隣国で逃げられたとしても、リスクが大きすぎる。最悪の場合、犯人の顔を見た私は、命を奪われてもおかしくないのだから。


(私、最後までサーシャを守れたかな…)


…と。

堪え切れない涙が頬を伝った

その時だった。