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「すごかったー…!あんな歓声が上がるなんて、想像以上だったわ。」


「えぇ。サーシャ様のスピーチは完璧でしたね。」


麗かな昼下がり。

戴冠式は厳かに執り行われ、サーシャとの結婚発表も無事に終わった。

温かく妃として歓迎されたサーシャは、ルコット共に城に残り、ヴィクトルと幸せそうに談笑していた。

私は、アレンと共に屋敷への道を歩きながら、そっ、と続ける。


「ダンレッドは、隣国に帰っちゃったんだっけ?」


「えぇ。彼はもともと、戴冠式までの期限付きでこの国に滞在していましたからね。帰り際、メルさんに何が何でもプライベートな連絡先を渡したかったようですが、メルさんはすでに馬車でハンスロット家に帰った後だったようです。」


「さすが、ブレないわね…」


旧友の見送りもせずに一貫してクールな対応をするメルさんに苦笑する私。

すると、アレンは静かにまつげを伏せて私に告げた。


「これで、お嬢様の“なんちゃって悪役令嬢ライフ”も終幕ですね。」


(…!)