「ちょっと男子〜掃除してよね」

クラスのマドンナ 片山美麗 カタヤマミレイ

が箒を片手に頬を膨らませてる


美麗に言われた男子達は顔を赤らめながら

「分かったよ!」

と言い掃除をはじめた

「本当、男子って使えないね〜」

美麗がため息をつきながら私に言う


「そうだよね…」


「彩奈、今日予定ある?」


「今日はちょっと用事あるんだよね…!」


「そっか〜、じゃあまた遊ぼうね」

と美麗は行ってしまった


私 近藤彩奈 コンドウアヤナ は小さいため息をついた


「はぁ…」


美麗と遊ぶなんて出来ればしたくない…


「ちょっと、お手洗い行くね」

私は一言告げて、人気があまりない女子トイレにはいった

個室のドアを閉めて、手鏡を出した


だって、私はブスだもん

美麗みたいに顔小さくないし

美麗みたいに色白じゃないし

美麗みたいに二重じゃないし

美麗みたいに脚だって細くない


私が唯一勝ってるのは勉強だけ……

私が美麗と一緒にいるだけでも声が聞こえてくる

「美麗ちゃん可愛いよねー」

「でもさ隣の子美麗と釣り合ってなくない?」


そんな嫌な声が嫌でも聞こえてくる

2人で遊んだってナンパされるのは美麗だけ


「あー…君はいいよ」


って言われる、惨めすぎる


そんなこと考えたら、涙が出てきた

やっぱブスは損する世の中

美人は得をする世の中なんだ

なんで私はブスに生まれたんだろう

周りの目線を気にせず堂々としたい


私は涙を制服の袖で拭き、扉に手をかけようとすると



「アナタの望み叶えてあげようか?」


と幼い声がドア越しに聞こえてきた


「だ、だれ……!?」


私はドアを開けようとした手を引っ込めた


「私は、花子って言うの…
アナタの望みと引き換えにアナタの大切なものを私にちょうだい?」


「な、なにを言ってるわけ?
私はそんなの信用できないわ」

「ふっ、そうよね…
でも私はアナタのなりたいアナタに出来るの
だから本当に辛くなったらまたいらっしゃい
その時はドアを3回ノックして私の名前を呼んでね」


と言い、ドアの外の気配がきえた


「一体何だったの……
悪戯かしら?」

私引っ込めていた手を再びドアにかけてドアを開いた

もちろん外には誰もいなかった

私がドアを閉めると、驚く事があった

白い紙に雑な字で 故障中と書かれていたのだ


「私が入る時はなかったはず……」

不思議な事が起こり困惑していたが

チャイムの音で掃除の途中だった事に気づき

慌てて、教室に向かった


廊下の角を曲がった所で誰かにぶつかってしまった

「きゃっ」

私はぶつかった拍子に尻餅をついた


「あ、ごめんね、大丈夫だったかな?」

とその男子生徒は私に手を出してくれる


どうせ、私の顔見たら嫌な顔して手を引っ込めるに違いない

私は渋々顔を上げた、もうやだ

そんなこと思っていると

「本当に大丈夫…?」

まだ男子生徒は手を伸ばしたまま、私の顔を見ていた


「え…………」


「立てる…?」


男子生徒が私に近づき、触れようとしてきたので私は慌てて立ち上がった


「だ、大丈夫です!!すいません」

「あぁ、良かった
ごめんね、ぶつかちゃって」

男子生徒が私に微笑む

「へ、平気です…!!」

「そっか、じゃあまたね」

と言い男子生徒は行ってしまった

私はしばらく男子生徒が行った方向を見つめていた

教室に戻って掃除をしてても、私の頭の中はあの男子生徒のことだった


男子と会話したのなんて久しぶり

しかも、私の顔見ても嫌な顔しなかったな…

かっこよかったし……

せめて名前ぐらい聞けば良かったかな?

私みたいなブスがおこがましいけど

気になる、あの笑顔をもう1回見たい

掃除も終わり、美麗に別れを告げた