ああ、茶化されているのだとしても嬉しい。

……嬉しいのに、つらい。こんなふうにしていられるのはあとどれくらいだろうと、無性に不安が過ぎるから。

でも今だけは、彼の妻であることを実感していたくて。お言葉に甘えることにした私は、「ありがとう」と笑顔でお礼を言った。


買い物をしてカフェでひと休みしたあと、いつも明るかった母のイメージにぴったりの、ミニひまわりの花束を持って霊園に向かった。

夕暮れで朱く染まった園内を歩き、まだまだ綺麗な小さな墓石の前で足を止める。

母の名前が刻まれたそれを見下ろし、わびしさを感じながらぽつりと言う。


「お母さん、元気かな」

「あの働き者のおばさんのことだから、天国じゃ暇を持て余してるかもしれないぞ」


優しく微笑んで言う尚くんに、私もふふっと笑いをこぼして「確かに」と相づちを打った。

それもつかの間、一年前の今日のことや母の笑顔を思い浮かべると、いつになっても涙が込み上げてくる。

しんみりしていたらお母さんが心配するぞ、と自分に言い聞かせ、鼻を啜って緩む涙腺を引きしめた。