……ああ。
みんな、こうやって西野にハマっていくんだろうな。
歩きながら取り留めのないことを話した。
西野は徒歩通。
私がいつも降りる駅の近くに住んでるらしい。
「西野、学校近いんだね」
「うん。ギリギリまで寝てられる」
「ギリギリどころか、いつも寝過ごしてるじゃん。遅刻常習犯」
手に意識が集中しながらも、なんとかいつもの調子を取り戻した。
お昼休みのキスのことには何にも触れない。
西野が気にしてないなら、私も気にしない……フリ。
気づいたら駅の手前まで来てた。
あっという間。
どのタイミングで手を離そうかと悩んでいると、ふと、あることを思い出した。
「……あ」
立ち止まった私の顔を西野がのぞき込む。
「ん。どうした?」
メイク道具を買って帰ろうと思ってたんだった。
家の近くにもドラッグストアはあるけど、田舎寄りだらこの辺りにあるお店よりも種類は少ない。



