「付き合ってる“フリ”を頼まれたとは言ってたけど……」
「……フリ？」
「なんかよくわかんないんだけどさー。学校で嫌がらせされてる子がいて、その主犯格にやめるように言ったら、交換条件で付き合えとか言われた～……みたいな話」
耳を疑った。
だって、今の話が本当なら──────。
「なにやってんの？」
背後から、西野の声。
振り向いた瞬間、ばちっと目が合った。
「に、にしの……」
顔を見ただけで涙がこぼれてくる。
「はっ？……ちょ、お前。利奈に何言ったの」
「うへっ？オレは何も……。この子が、遥日に彼女がいるっていうから、そんなのいないよって……」
西野が見下ろしてくる。
もうだめだ。
逃げられない……し、
やっぱり西野のこと忘れるなんて、一生できない気がする。
