「陸人、嘘ついてごめんね……」
「……」
「さっきまで西野と会ってたのはほんとだよ。でも、陸人が思ってるようなことは一切してない。……これは、帰りに嫌がらせで付けられただけ」
「……」
「西野にも言ったもん。これで関わるのは終わりにするって。だから──────」
「もういい」
低くて冷たい響き。
拒絶の声だと思った。
もうだめだ、今度こそ陸人に嫌われた。
じわっと涙がにじむ。
でもその直後。
目の前が暗くなって、ふわりと温かいものに包まれた。
しばらくして、陸人に抱きしめられていることに気づく。
……え?