ドアの取っ手が上下して、間もなく陸人が姿を現した。


部活お疲れ様。
そう声をかけようとして、はたと思い留まる。


だって、なんか……不穏な空気。


私が座るベッドまで歩いてきた陸人の表情は、見るからに穏やかじゃない。



「お前、放課後何してた?」

「え……」

「用事があるって先帰ったろ。そんなに大事なことだったのかよ」

「っ、と、友だちと遊んでて」


この前怒鳴られたときのことを思い出して、とっさに嘘をついてしまう。

でも、陸人はもう本当のことを知ってるみたいだった。


「なんで」という小さな声に、胸がズキッとした。



「いつからお前は……俺に、嘘ばっかつくようになったんだよ」