え。
なに、……なに。
こわくて、閉じた目にぎゅっと力をこめた。
西野の匂いに包まれたまま。
さっきよりも体が密着したのが伝わって、また息ができなくなる。
私を抱きしめてた腕が、背中のラインをたどって首元にたどり着いた。
西野が触れた部分に熱が集中する、心臓が壊れそう、ほっぺたもビリビリ焦がれてるみたいに熱い。
「にしの、──────っぁ、」
西野が触れていたはずの首筋と反対側、少し下のほうに、ちくりと小さな痛みを感じた。
それは一瞬。
痛みと呼べるほどのものでもなくて、西野が爪を立てたのかもしれない、なんて、こんがらがった頭で考えながら。
目を開けたときには、西野の腕は完全に解かれていた。