私に目線を合わせてきた西野。



「お礼もらいたい」

「えっ……」

「いっこだけ言うこと聞いて」



直後、息が止まった。

まっすぐ見つめてきたかと思えば、まぶたを伏せて、どこか物憂げな表情を見せる。



「……なに?」


ドクンドクン。
自分の心臓の音しか聞こえない。



「なんでも聞いてくれんの?」

「それは聞いてみないとわかんないよ。でも、できる限りのことは、します」


「じゃあしてよ」

「う、うん。だから、何をしたらいいのか、聞かないとわかんないって……」

「立ってるだけでいい」

「え……」