「いいなあ、このマンションに住みたい」
そう口走ったのは、完全に無意識。
隣から視線を感じてハッとする。
「へ、ヘンな意味ではなくてですね……っ?」
そしたら、西野が呆れたように笑うから、また胸の奥がきゅっと締まるんだ。
「なに1人で騒いでんの」
「う……すみません」
「ジュース飲みな?」
「はい、いただきます……」
私がフタを開けたのを確認して、西野もみかんジュースを口に運んだ。
好きな人の隣で、外の風に吹かれながら景色を眺めて、同じ飲み物を飲んで……
「西野って、兄弟いるの?」
「あー、うん。上に1人兄貴がいる。もう成人してて、家にはいないけど」
「そうなんだ」
とりとめもないことを話して。
「利奈は?」
ときどき、目が合って。
「っ、私は……ひとりっ子だよ」
「へえ、意外。末っ子で甘やかされて育ってそう」
「う、なにそれ……」
距離が、近づいて──────。



