何も言えなかった。
陸人との関係を否定する言葉は、喉まで出かかってるのに。
西野の気配が遠ざかって、リボンを取りに行ったんだってわかる。
私も体を起こして、西野が戻ってくるのを待った。
否定するタイミング、見失っちゃった。
再び足音が聞こえてくるまで、パチパチまばたきを繰り返して涙を乾かすのに専念する。
「ベランダ出る?」
西野はリボンを持って現れた。
反対の手には、オレンジ色の缶ジュース。
「ウーロン茶にしようと思ったけど、冷蔵庫にちょうど2本あったから」
「えっ。ありがとう……」
みかんと丸文字で書かれたパッケージを見ると、その可愛さに張り詰めていた気持ちが少し和んだ。



