無気力オオカミくんは、私だけに夢中。




「景色良さそう。いいなあ……」



こうして話してると、距離を置こうとしてたことをつい忘れてしまう。

西野の隣を歩いてるのがずっと前から当たり前みたいに思えてくるから不思議。

他の女の子もいない。
今この瞬間だけを切り取ったら、幸せなのに……。



「利奈って高いとこ平気?」


ナチュラルに名前を呼ばれてドキッとした。



「うん、平気だよ。 むしろ大好きというか、高いとこから景色見るのすごい憧れててね……私の家って田舎寄りだから、高層ビルとかないんだよね」



私の癖。動揺すると饒舌になる。



「へえ。じゃあ部屋入ったら、ベランダ出てみる?」

「っえ、いいの……?」

「いーよ。……つっても11階だし、期待してるほど高くないかもしんないけど」

「いやいや、十分すばらしいよ……っ。
デパートより高いもん!」



興奮して思わず前のめり。

そんな私を見て西野がふ、と笑った。



「子どもかよ」


それだけで私の心臓は狂ったような音を立てて、視線はがんじがらめ、息すら忘れて時間も停止する。