西野、相変わらずにこりともしない。
「隣、歩いてもいいの?」
「縦のほうがおかしい。登校班じゃないんだから」
「アハハ……そうだよね」
そっと追いついて隣に並ぶ。
放課後デートっぽい。
しばらく沈黙。
いつも私が使ってる駅を通り越すと、知らない住宅街が現れた。
「西野の家って、この近くなの?」
「ん。そこのマンション」
「ええっ、大っきい」
西野が指差したのは、住宅街の真ん中にそびえる黒い建物。
いくつかあるマンションの中でもずば抜けて大きくて、どことなく高級感がある。
「すごいね。高級マンションだ」
「そーでもないよ。ただ、周りより高さがあるってだけ」
「へぇ。西野の部屋は何階なの?」
「11階」
ざっと数えて、真ん中くらいの階だ。



